2015年11月3日火曜日

映画『ロイヤル・セブンティーン』・・・ 米国ヤンキー娘の突撃で英国貴族がパニックに陥ります

●原題:What a Girl Wants
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:105min
●製作年:2003年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デニー・ゴードン
◆出演:アマンダ・バインズ、コリン・ファース、ケリー・プレストン、エイリーン・アトキンス、アンナ・チャンセラー、ジョナサン・プライス、オリバー・ジェームス、クリスティーナ・コール、その他大勢

【ストーリー】
アメリカ。女子高生ダフネは母リビーとの二人暮らし。かつて英国貴族の父ヘンリーと結婚したリビーだったが、ダフネを身ごもった直後に離婚していたのである。ダフネはリビーと向き合うに連れヘンリーへの思いが強くなっていた。ある日のこと、ダフネは一大決心し、ひとり英国に飛び立つのであった・・・。



【感想と雑談】
 レンタル店で何気に手に取った作品ですが、これが当たりでした。異国に乗り込んだ女子高生が、文化の違いに揉まれながらも父親探しに奮闘する展開には、心のガッツポーズもフル全開です。我ながら意味不明です。

 以前にも、同様の米国女子高生の青春もの『ワイルド・ガール』('08)を記事にしました。米国と英国はお互い同じ英語圏なのに、文化と性質に違いがあってとても興味深いです。異国同士なら大抵は楽しめますが、英語の訛りの違いも加わる面白さから、米国と英国の関係がダントツ盛り上がりますね。

 ダフネを演じるアマンダ・バインズの可愛いこと。米国ではケリー・プレストン演じる母親リビーのアシスタントみたいな生活を送っていてパッとしない存在なんだけど、父親に会いたい一心で英国に乗り込んだ以降は、天真爛漫な威力を発揮します。英国からすれば奇行の塊が大爆進。

 名門貴族の父ヘンリーを演じるはコリン・ファース。なんでもこなす実力の英国名優ですね。一気に画面が引き締まります。ダフネの存在に驚き、こっそり米国のリビーに電話すると、事情を察知し、遂に観念するヘンリー。名門の体裁とスキャンダルの間に揺れるナイスガイです。



 ヘンリーには側近というか知恵袋みたいなジジイがいて、自分のバツイチ娘と孫娘を家系に宛てがおうと策略してるの。いずれヘンリーが政界入りしたら甘い汁吸うたろかな腹黒ファミリーで、ダフネが邪魔で仕方がない。英国流儀も相俟った悪の存在であり、米国人ダフネとの対比が凄く鮮明になります。

 貴族の地味なファッションショーに間違って紛れ込んだダフネは、調子こいてステージを闊歩してしまい、英国人を仰天させます。頭を抱えるヘンリー。しかし、英国人はダフネの斬新さに感銘し応援するようになります。ダフネざまあー、とほくそ笑んでいた腹黒ファミリーがざまあーの瞬間です。こういう痛快さがいいですね。

 『ワイルド・ガール』は父親との交流はあるものの女子高生のほぼ独走状態でしたが、本作は異国間の女子高生と父親を対等に描いていて格調の高さも伺えました。貴族でいるより自由に生きたいヘンリーの葛藤が爆発し遂ににハメを外すところや、そんな親だけにダフネと瓜二つの点があるところは、笑いのポイントです。

 意外や製作年が2003年と古いのですね。最近の作品かと思えるくらいの垢抜けさです。若めのコリン・ファースがなかなかのイケメンで、ひとりレザーパンツで踊り狂うところは、『ラブアクチュアリー』('03)のヒュー・グラントを思い出しました。・・・ああ、この作品でもコリン・ファースがいい味出してたっけ。



 ちょっと気になった点は、実在する英国の伝統や文化、性格なんかを利用してコメディの踏み台的な描き方をしているところでしょうか。ハリウッドに一方的にやられている感。しかしまあ、英国にしてみれば自国の堅苦しさを打開したい思いもあるでしょうし、派生国のオープンな米国に見とれる部分もあるのだと思います。エンタテイメントの世界では余計な心配なのかもしれません。

 そういえば、『ラブアクチュアリー』には、英国女に嫌気の差した男が渡米して米国女をはべらすエピソードがありましたね。米国女が英国訛りを楽しむコントが秀逸すぎるし、結構好きだったりします。もっとそういうのやれ英国。

 なんだかんだ、異国同士のドタバタは楽しいし(え)、固定観念やルールが際立つことで新たな発見やヒントも得られるんじゃないか、と思いますね。とにかくアマンダ・バインズとコリン・ファースがいいのでお勧めです。

 と書いておいて、アマンダ・バインズのその後を調べてみたら、本作以上の奇行ぶりに驚いてしまいました。なんだ?マリファナ所持とか、ひとん家に勝手に入って焚き火とか、飼い犬にガソリンをぶっかけたりとか、って。どーしたアマンダ。ダフネの健全さはどこにいった?女優業は終了しているようで非常に残念であります。

 ついでに、ダフネの母親リビーを演じたケリー・プレストンも調べてみたら、「夫のジョン・トラボルタと共演した『バトルフィールド・アース』('00)で、ゴールデンラズベリー賞の「最低助演女優賞」を受賞してしまった」とのこと。やるじゃん。


 英国はかつて洋楽ブームで大変お世話になった国。


(C)2003 Warner Bros. Entertainment Inc. and Gayload Films LLC.

【出典】『ロイヤル・セブンティーン』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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