2015年2月7日土曜日

映画『ブロンドジャンクション』 ・・・コマンドーの監督が送る、残念な女アサシン VS 爆弾オッパイ

●原題:Betrayal
●ジャンル:アクション/ドラマ/スリラー
●上映時間:94min
●製作年:2003年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マーク・L・レスター
◆出演:エリカ・エレニアック、ジュリー・ドゥページ、アダム・ボールドウィン、ジェレミー・レリエット、ジェームズ・レマー、ダミアン・チャパ、その他大勢

 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?まだまだ寒いですね。インフルエンザもそうですが、そろそろ気になってくるのが花粉症です。嫌な季節ですホントに。
 さて、今回は犯罪アクションものを紹介したいと思います。いろいろ問題があって楽しい作品です。

【ストーリー】
 アメリカ。凄腕女アサシンのジェインは、今日も常連の組織から仕事を引き受ける。それは組織の売上金を横領してる下っ端の始末であった。手際よく仕事を済ませたジェインは、あろうことか売上金を持ってトンズラする。裏切られ怒り心頭の組織から逃れる為、ジェインは母エミリーと息子ケリーの親子に一般人を装いヒッチハイクを懇願する。親子は快諾するも、それがジェインとのヤバイ珍道中になろうとは知る由もなかった・・・。



【感想と雑談】
 何気に手を伸ばした作品です。パッケージの粋なポーズのブロンド美女(この時はそう見えました)に惹かれたのは当然ですが、なんと監督が『コマンドー』('85)のマーク・L・レスターで、出演陣にも思い出深い女優がいたりしてビックリ。運命の巡り合わせを感じ、即決しました。配給アルバトロス発掘のDVDスルー作品のようです。

 なにこれB級すぎるし、凄く懐かしい気分。

 始まってすぐ浮かんだのが木曜洋画劇場。展開もそうですが、垢抜けない色合いとスタンダードサイズの画面も相俟って、かつての東京12チャンネルありがとうな気分に浸れました。観る前の淡い期待(どんな)は木っ端微塵ですが、その出来が意外すぎて逆に色んな意味で収穫がありました(笑)。

 冒頭、娼婦を装った女アサシンのジェインが酒場でマフィアを始末するくだりはいい感じです。しかしこのジェイン、黙ってればいいのに汚い言動とクチもとが残念すぎる美人。クールビューティさもない自己陶酔ぎみの女。最初の印象が覆されます。演じるはフランス女優のジュリー・ドゥページ。どんな基準で起用したのか知らんですが、このB級臭さには非常にマッチしてる女優といえましょう。

 ひと仕事終えたジェインのしたり顔を拝むと、突然、砂漠のハイウェイが映されます。誰も歩いておらず何も走っていないハイウェイを15秒くらい映すと、次に角度を変えてまた同じような光景を15秒くらい・・・ということを5、6回繰り返す謎のカット。展開に向けた布石のつもりでしょうか。この辺りでコマンドーの監督にしてはどうなの、と思えると同時に笑いがこみ上げてきます。

 ジェインとは対象的に善良な親子。ママのエイミーを演じるはエリカ・エレニアック。『沈黙の戦艦』('92)をご存知の方は思い出して下さい。ケーキの中から飛び出しトップレスで踊りだすプレイメイト役を。実際プレイメイトでもあった女優です。懐かしいなあ。家賃滞納で困窮するシングルマザー役ですが、未だ健在の爆弾オッパイのせいで、ジェインを食ってしまうほどの存在感。笑えます。


(エリカ(左)の独り勝ち。そしてタイトル通りに交差するブロンド集団です)

 組織の金を奪い逃走中のジェインは、親子が車で同じ目的地に移動することを知るや、慌ててヒッチハイクを懇願します。

 ジェイン 「田舎の妹が危篤なんです。わたし足がなくて(;ω;)」

 同情した親子はジェインを乗せ目的地メキシコに向け出発。すると、ジェインは、タバコふかすは親子を見下し始めるわで、情緒不安定な女にしか見えなくなります。親子が可哀想・・・。

 休憩時、笑えるほどの唐突さで車に轢かれそうになったジェインは、殺気まる出しで、いまの車を追えと親子に迫ります。

 ジェイン 「あのゴキブリ野郎が!!とっちめてやる!!!」
 ママ      「そんな態度は止めて!落ち着きなさいよ!」
 ジェイン 「田舎の妹が・・・(;ω;)」

 急転すぎてアホか。

 モーテルで一泊することになった一行。ママ孝行の息子ケリーは、ジェインの部屋で100万ドル入りのカバンを発見します。夜、寝静まった頃、ケリーはカバンをそっと奪うと、ママの寝顔を見ながら「もうお金のことで苦労はかけないよママ」と置き手紙を残します。そして、ひとりヒッチハイクして自宅に戻ります。おい。

 翌朝、カバンを奪われたことで本性を現したジェインは、ママに拳銃を向けケリーのことを脅迫。やがて、追ってきた組織とコントみたいな銃撃戦に突入します。至近距離でショットガンが一発も当たらないスーパー銃撃戦。なんとか逃れたママは、通りがかった男に助けを求め、自宅に向かうことにします。実はこの男、話のキーとなる存在で、このあと二転三転する展開に拍車をかけます。一応スリラー要素です。


(レスリー・ニールセンのコメディ作品にもこんな銃撃戦がありました)

 一方、自宅に戻った息子ケリー。100万ドル入りのカバンを隠すと、お菓子を取り出し、くつろぎます。そして、スイッチオンしたテレビから、ジェインが指名手配中の殺人犯であることを知るや、

 ケリー 「ママがぁー!!!!(;ω;)」

 再びアホか。”殺人犯とは知らずに金を奪っちゃったんだよママ”、と猛省するケリーですが、オマエそういう問題なのか。最大の謎行動を起こす息子ケリーの顛末は爆笑ものです。

 クライマックスはジェインとママの一騎打ちで締めとなります。当然こうでなくてはいけません。ですが、ジェインも殺しのプロと豪語する割にはヘッポコすぎて、ママとの低レベルで対等なキャットファイトになってしまうのは、全体を包む空気から予想はできていましたが、やはり残念ではありました。

 ジェインのこと酷く書いちゃいましたが、実は可愛いところもあったです。今さらですが(笑)。最後の最後まで木曜洋画劇場だったな、と思わせる作品でありました。

 製作と監督をマーク・L・レスターがやってますが、かすかに片鱗はあるものの、残念ながら『コマンドー』には程遠い出来でした。18年も経って力量がなくなったのか、それとも『コマンドー』自体がジョエル・シルバー製作による奇跡の作品であったのか。どっちでもいいです。


 木曜洋画劇場を復活して欲しい。


(C)2002 Betrayal Producrions, Inc.All Rights Reserved
【出典】『ブロンドジャンクション』/パンド

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