2013年8月19日月曜日

映画『わたしが美しくなった100の秘密』 ・・・ミネソタ田舎娘によるブラックユーモア満載のミスコン物語です

●原題:Drop Dead Gorgeous
●ジャンル:コメディ/スリラー
●上映時間:97min
●製作年:1999年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マイケル・パトリック・ジャン
◆出演:キルスティン・ダンスト、エレン・バーキン、デニス・リチャーズ、カースティ・アレイ、サム・マクマレイ、アリソン・ジャネイ、ミンディ・スターリング、エイミー・アダムス、ブリタニー・マーフィー、ローナ・ウィリアムズ、松田聖子、その他大勢

 夏の新作大作時期なんですが、やっぱり記事にするのは旧作だったりします(笑)。今回はちょっと作りが特殊ですが、なかなかイケてる作品であります。

【ストーリー】
 アメリカ。毎年恒例となっている化粧品メーカー主催のミスコンテスト。ミネソタ州の田舎町でも全国No1を目指せとばかりに、女子高生らを中心に大いに盛り上がっていた。あるテレビ局がそんなミスコンの裏舞台にカメラを向ける。しかし、そこに映されるのは華やかなイメージだけではなかった・・・。



【感想と雑談】
 昔、深夜枠で放映されたのを観たのですが、これがなかなかの衝撃作。知名度は低いようですが、意外や出演陣が豪華。そしてメリハリあってスピーディな展開。水面下を潜航し続ける隠れた名作に昇華しました。いつか記事にしたいと思っていた作品です。

 田舎町の女子高生らがミスコンに向け奮闘する様と、それを取り巻く大人達の様子が、全編テレビ取材による映像として描かれます。擬似的なドキュメントですね。同時期話題の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』('99)みたいな手持ちカメラのブレブレと違って、本作は落ち着いて見られる撮り方をしています。

 主人公の女子高生アンバーを演じるのはキルスティン・ダンスト。ここでの彼女はとても可愛いのですよ。この時まだ10代だしね。母子家庭のトレーラーハウス育ちという裕福でない環境でありながら、性格はとてもいいナイスガール。趣味のタップを踏みながら、今日も死に化粧のバイトに励みます。おくりびとか。



 元ミスコン優勝者の母を持つ、性格極悪な女子高生レベッカを演じるのはデニス・リチャーズ。彼女、こういう役柄ビタッとハマリますな。その性格から何としてもミスコン優勝を狙いたい彼女は、同じくビッチな母親と組んで裏工作に励みます。母親役はカースティ・アレイ。なんかブクブクになってる。『スタートレック/カーンの逆襲』('82)での士官役が綺麗なお姉さんでファンだったんだけどな。いつの話だよ。

 それと松田聖子がちょこっと登場します。米国かぶれの両親が白人娘を養女に迎えているので、ミスコンに出るのは聖子ではなく白人娘だったりします(笑)。聖子、いったい何歳の役なんだ?まあ女子高生役としても、海外からしたら疑いない容姿だと思いますが。

 あと、最近知って驚いたのですが、あのエイミー・アダムスがドアホなチアリーダー役で登場します。同じくアホな彼氏とエッチに謳歌している様が頼もしいです(笑)。言われないとわからない容姿と若さです。新作『マン・オブ・スティール』('13)が楽しみです。



 他の女子高生らも勿論のこと、そんな彼女らを見守る、というか変に干渉(観賞)しまくる大人達も含め全員キャラが総立ちで、見飽きることがありません。特に、アンバーの母親とその友人が揃って気のいいヒッピーで、レベッカの両親が会社経営の高飛車という、ミスコンで火花を散らすには非常に判りやすい対比となっていて、これに田舎町の住人らが花を添えるような行動を繰り返します。

 ミスコン大会の準備が進められる一方、不自然な事件・事故が起き始めます。ちょっと笑ってしまったのが、レベッカが狙ってるイケメンがアンバーと楽しげに会話をした翌日、そのイケメンがドタマに穴の開いた遺体となって登場するところ。取材陣がライフル射撃中のレベッカにその件を伝えると、「あら、そうなの?」とすっとぼけます。アンバーはアンバーで「仕方ないわ」とあっさりイケメンに死に化粧をするという。切り替えしが早すぎ(笑)。

 また、何十年も前のミスコン優勝者が役場の婆さんだったり、次に古い優勝者がソーセージ工場で豚の血を浴びてたり、前年度の優勝者が重病(白血病か)を患っていて車椅子に乗ってたりと。なんか、どこか触れてはいけないものが全面に出てしまっています。



 選考大会で女子高生らは個人種目(パフォーマンス)を披露し、失笑と喝采を浴びまくり、ついに町の代表が選ばれます。その後、町のパレードを経て、州大会、全国大会へと臨む超展開が始まり、怒涛のクライマックスへと雪崩れ込むことになります。

 脚本を手がけたのは実際ミスコン経験者のローナ・ウィリアムズ。本作ではもの凄く無口なミスコン審査員として出演もされています。本人の経験なのか創作なのかは不明ですが、女性視点だからこそミスコンの暗黒面を面白おかしく描けられたのでしょうかね。

 マスコミの冷めた視点で描かれるのは、美を追求するミスコンではなく、ミスコンを追及する負のエネルギーと、そのなれの果て。惨めさ愚かさをブラックな笑いと共に痛烈に批判した傑作だと思います。

 90年代最後にいい作品作りましたね。キルスティン・ダンストにイマイチ踏み込めない方も、これを観たら一発OKになること間違いないでしょう。


 やったぜ、キルスティン。


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【出典】『私が美しくなった100の秘密』/ポニーキャニオン

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