2013年7月21日日曜日

映画『悪魔の毒々モンスター』 ・・・力いっぱいバカ映画の金字塔が再登場です

●原題:The Toxic Avenger
●ジャンル:アクション/コメディ/ホラー/SF
●上映時間:92min
●製作年:1984年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン、マイケル・ハーツ
◆出演:マーク・トーグル、アンドリー・マランダ、ゲイリー・シュナイダー、ロバート・プリチャード、シンディ・マニオン、ジェニファー・プリチャード、パット・ライアン、その他バカ大勢

 暑いですね。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
 今回、久々の映画記事は、懐かしの最低バカ作品になります。

【ストーリー】
 アメリカ。どこぞの町トロマビル。スポーツジムの清掃員メルビンは、モップ片手に充実した毎日を送っていた。ある日のこと、不良チームの盛大なイタズラによってメルビンは産業廃棄物にダイブしてしまい、筋骨隆々のモンスターへと変身してしまう。その恐ろしい風貌とは裏腹に、正義を貫くメルビンは悪党どもを粉々にしていく・・・。



【感想と雑談】
 レンタル店でいきなり目に飛び込んだ本作『悪魔の毒々モンスター』と『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』('06)の2作品。どちらもアメリカはトロマ映画が製作した最低バカ映画であります。新作扱いでリリースされたばかりの早い者勝ち。思わず両方をレンタル。というか、今どきこんなの観る人、他に何人いるのか(笑)。

 この2作品を出してくれたのはホント嬉しかった。特にトロマ映画の記念すべき出世作となった『悪魔の毒々~』は、ビデオ全盛期の’80年代にクズのような作品が乱発される中、ひときわ際立ったクズ度でありましたが、そのなんといいますか、アメリカ独特のノリと不謹慎さ、そして盛大なバカさ加減に妙にハマってしまったのです。

 久しぶりに観てみましたが、未だに笑える場面が健在な上に、当時の思い出も蘇って、とても感慨深い鑑賞タイムとなりました(笑)。因みに、今年春頃に「トロマの逆襲2013」とかいう企画で東京で上映されたんだそうです。いいな東京。

 舞台は産業廃棄物で溢れる町トロマビル。そこのスポーツジムでマップボーイとして働く青年メルビンが主人公。イケメンとは言い難い、というかブサイクでガリガリな容姿です。こういう役者を持ってくるのがトロマ映画の醍醐味でもあります。モップを誤ってジャグジーで洗ってしまったメルビンは、不良チームの逆鱗に触れてしまい、やがて放射性廃液に頭から突っ込んでしまいます。



 バカ要素だけでなくエログロ要素もセットにするトロマ映画。特にグロ要素は容赦ないです。先の不良チームは毎夜のドライブで人を轢くことに興奮を覚える危ない連中で、ここでターゲットにされるのが自転車に乗った少年。まるで『デスレース2000』('75)みたいだ。

 かなり残酷な描写で当時ビデオ版ではネガ反転の修正でしたが、今回は無修正なのでまんまの映像になっています。今では実現不可能な描写でしょうか。それにしても問題なのはここで流れるBGM。爽やかすぎるメロディと残酷描写の対比が実に印象的です。サビがまたいいんだよな。こういうセンスもトロマ映画。

 勿論、モンスター化したメルビンの悪人に対する仕打ちも残酷オンパレードです。ファーストフードに押し入った強盗グループとの戦闘は、トロマならではのSE(妙な呻き声、掛け声)も相まって楽しいし、思ってもクチにはできないようなアイデアで強盗団を粉々にしていく様は斬新すぎます。

 また、ここで出会った盲目の少女とのロマンスにやっと春が訪れるメルビンですが、その後やっぱりのマヌケで下品な同棲生活が笑いと共に待っているのでした。



 メルビンを取り囲む不良チーム、町民、警察、ギャング団なんかも全てが味のある描き方をされています。基本オーバーアクションでアホな言動を繰り返していて笑いのツボ満載です。中盤、麻薬売買に躍起になってる悪徳町長が、秘書にゴルフクラブを磨くよう指示します。

 すると、この秘書ははしゃぎながら「モミモミ!モミモミ!」とかいって町長をマッサージし始めます。町長が悶絶しながら言い直すと、やっと「オー!クラブをきれいにー!」と理解する秘書。正直このドアホさがかなり可愛いと思うのですが、いったいどーなんでしょうか。トロマ映画の演出って凄いな。実際こんな秘書いたらクビだろうけど。

 犯罪を撲滅するメルビンが町民らに愛される一方、悪徳町長と取り巻きは警察と軍隊を総動員させメルビン=モンスターの討伐に走ります。盲目の彼女とメルビンの愛の巣を取り囲み、対峙する善の町民と悪の行政。この先、トロマビルはどうなってしまうのか・・・。

 DVDとはいえ当時まんまの画質はガサガサ、演出と編集も雑すぎ、品もなさすぎ、という残念づくし。しかし、そんな中にも独特のセンスを感じるし、人権や環境問題を蔑ろにする悪党どもが、その副産物によって痛いしっぺ返しを食らう皮肉で痛快なところが、単なる最低バカ映画で括るには勿体ない作品なんだと思います。



 こんな出来でもエンタテイメントとして割り切れるかどうかで、非常に観る人を選ぶ作品だと思いますが、トロマ映画(というかロイド・カウフマン監督)の独特な作風は説明しにくいので、もし興味が湧かれた方がおられましたら観ることをお薦めします。あのニュアンスを是非、体感頂きたく(笑)。

 ・・・しかし、これを出すなら、いっそのことシリーズ全作品を出して欲しいです。2作目なんか、毒々モンスターが東京に上陸して楽しいことになってますからね。

 シリーズ4作目にあたる『悪魔の毒々モンスター/新世紀絶叫バトル』('00)の最悪な記事はこちらになりますので、余力がありましたらどうぞ。⇒コチラ

 『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』もいずれ記事にしたいと思います。たぶん今回と同じような感想になると思いますけど(笑)。


 第2弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/東京へ行く』
 第3弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/毒々最後の誘惑』 ← 早く再リリースすれ
 第4弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/新世紀絶叫バトル』


(C) MCMLXXXIV H.C.H. CO./TROMA, INC.
【出典】『悪魔の毒々モンスター』/キングレコード

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2 件のコメント:

  1. こんばんは。

    この旧シリーズは好きでしたねー。
    DVD化されたんですねぇ。観たいなー。

    殺害シーンはグロいものの、ヒーロー的存在と哀愁…そしてなによりもハッピーエンドで終わるところもいいですね。

    日本へ行った回も観ましたけど、確かお相撲さんとか鯛焼き機が出ていたような気がします。
    シリーズ通して出してほしいですねぇ。

    応援いっときまーす。

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  2. >白くじら様
    おおー、この毒々シリーズお好きでしたか!さすがでございます。

    作り手の容赦ない志にハートは鷲掴みですよね。凄く観る人を選ぶ作風ではありますが(笑;)

    日本に行く回は、結構大物役者(タレント?)が出てたりして楽しめましたね。故力也の扱いがヒドくて笑うしかありませんでした。
    鯛焼き機はモンスターがチンピラの鼻を鯛焼きにする強引な描写で出てきましたね。日本に上陸した以降はエログロ度が控えめになってましたが、それでもパワフルな内容だったと思います。

    シリーズ作品、全て出してくれますように。

    応援コメント、ありがとうございました♪

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