2013年9月14日土曜日

映画『シリアル・ママ』 ・・・善良な主婦が町のゴミを処分します

●原題:Serial Mom
●ジャンル:コメディ/犯罪/スリラー
●上映時間:93min
●製作年:1994年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョン・ウォーターズ
◆出演:キャスリン・ターナー、サム・ウォーターストン、リッキー・レイク、マシュー・リラード、ジャスティン・ワーリン、ミンク・ストール、トレイシー・ローズ、その他大勢

 9月に入ってました。皆様いかがお過ごしでしょうか?前回更新までの暑さはやっとこさ山場を越えて、涼しさを感じるようになりました。秋ですね。いいですね秋。すぐ冬に突入するんだろうけど。でも寒い方が好きなので問題無。

【ストーリー】
 アメリカ。ボルチモアで平和に暮らす主婦ビバリー。よき妻よき母としてすこぶる評判であったが、実は彼女には裏の顔があった。モラル、マナー、秩序を重んじる一方で、殺人犯を崇拝するビバリーは、気に食わない者がいれば制裁を加える毎日を送っていたのである。そんなある日、近隣住民からイタズラ電話のことで通報を受けた警察がやってくる・・・。



【感想と雑談】
 これ最近になってDVD&Blu-ray化されたのですね。ビデオ時代から結構長いこと再見ができなかった訳です。悪趣味の帝王(笑)ジョン・ウォーターズ監督による、毎度地元のボルチモアを舞台にした、土着感溢れる楽しい作品です。

 駐車場待ちで割り込みされる、ゴミの分別をしない住民がいる、愛する子供を学校に否定される・・・そんな日常で誰もが遭遇しがちな不満事に、キャスリン・ターナー演じる主婦ビバリーが立ち上がります。街宣やビラ配りなんて面倒くさいことはしません。

 ここで、非常に迫力あるキャスリン・ターナーが堪能できます。

 今朝もいつものように笑顔で家族を送り出したビバリーは、自室に戻るとご近所の友人に電話をかけます。相手が出るやいなや、いきなり卑猥な言葉を大連発。下品な笑いも添えて。この豪快なイタズラ電話の様子をスプリットスクリーンで映しだします。



 このイタズラ電話の発端となった駐車場で友人に割り込みされる回想シーンは、まるで観ている自分もそれを食らったかのように怒りとカタルシスを共有できる瞬間です。わかる。わかるぞ。始まって早々にビバリーが大豹変するのでビックリしますが、この急激な転換が後の展開を一気に盛り上げてくれます。

 制作に当たっては、ビバリー役をキャスリン・ターナーにオファーできたことで、かなりの資金を集めることができたそうで、なるほど一見ハリウッド作品のような落着きと華やかさを感じます。が、先のビバリー大豹変から始まる、下品でボンクラで変態で、そして痛快な味付けで爆進する様は、さすがジョン・ウォーターズ監督だと感心するばかり。

 監督は、頑なに出身地のボルチモアを舞台にした作品を撮られているそうで、確かに観た作品はどれも似たような町並みでちょっと垢抜けてない印象を感じますが、一方で地元愛というかどこか温かい眼差しも感じます。コメンタリーで監督が「制作側がハリウッドから干すぞと脅してきたけど、元々ハリウッドなんか相手にしてねーよ」と切り返したところは痛快で笑えました。



 中盤、ノミの市に出店したビバリーは、娘の彼氏が浮気しているところを目撃。制裁モードに突入し、彼氏をトイレで殺害します。この時の彼氏の浮気相手に大注目。演じるのが、出ましたあのトレイシー・ローズなのです。彼氏が殺されたというのに、駆け付けたイケメン刑事に色目を使うトレイシー。この演出からして監督の愛を感じます。実際コメンタリーでも監督はトレイシーは友人だと豪語していました(笑)。しかし、この頃のトレイシーは可愛いかったんだなあ。

 遂に逮捕されたビバリーは、裁判を自分で弁護することを宣言します。世間が注目する中、陪審員と次々現れる証人にビバリーはいったいどう対処していくのか・・・。

 劇中で『血の祝祭日』('63)が度々流れるのですが、監督によるとリアルタイムで観た世界初のスプラッタ作品として特別な存在なんだそうです。メイキングでは『血の祝祭日』の監督ハーシェル・ゴードン・ルイス御大も登場され、映画製作への熱い思いを聴くことができました。大変興味深かったです。因みに、御大監督の『血の祝祭日2』('02)では、ウォーターズ監督が特別出演されていました。



 悪趣味で地場産業な経歴からしてクセはありますが、そんなジョン・ウォーターズ監督だからこそ地元を生かし、本来映画に求められる答えを明快に出せているんじゃないかと思います。ビバリーの言動にハマることができれば、あとは笑いとカタルシスが待ってるだけです。

 キャスリン・ターナーの肝っ玉さに大感服。


(C)1993 SAVOY PICTURES All Rights Reserved
【出典】『シリアル・ママ』/キングレコード

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2 件のコメント:

  1. こんにちは!
    素晴らしい映画の紹介を有難うございます!!(^.^)
    この映画の存在を知らなかったのでYahoo映画で調べると、
    トレイシーの名前はキャストの中にありませんでした。

    もしこの映画にトレイシーの出演を知らずして、
    存在を見つけたのならumetramanさんは凄すぎます!!尊敬します!!\(^o^)/

    早々にこの映画をレンタルするとします!!
    話の内容も面白そうですよね!!(^^♪

    きっとかみさんと一緒に見ることになりますが、
    トレイシーが登場してもこみ上げる興奮を殺して見るとします(爆)

    楽しみです、有難うございます!!!(*^_^*)

    何回も使ってる気がしますがトレイシーに応援です!!(笑)

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  2. >take51様
    こんにちは。

    Yahoo映画も他の一般情報サイトでも、わかっていても名前を出すのを控えているのかもしれませんね。みんなトレイシー大好きなくせして、やせ我慢してるんだ(笑)。

    私も最初観た時は気付かなかったのですが、中古ビデオを買って観直したときに気付いたんですよ。エンドロールを確認したら大正解でした。take51様なら一発で気づきますよ。
    今回、DVDのクリアな映像で再見したら、またお綺麗で可愛いのですよ~。

    take51様、奥様と一緒にご覧になる予定とのことですが、我慢するの難しいかもしれませんよ。なんか突然叫びそうで(爆)。申し訳ありませんが責任は持てませんので(笑)。

    トレイシーは数分間の特別出演なので活躍はあまり期待しないで下さいね(汗)。

    トレイシー応援頂きました!ありがとうございます♪

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