2014年5月6日火曜日

映画『ワイルド・ガール』 ・・・アメリカヤンキー娘がホグワーツみたいなイギリス学校に転校します

●原題:Wild Child
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:98min
●製作年:2008年
●製作国:アメリカ/イギリス/フランス
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ニック・ムーア
◆出演:エマ・ロバーツ、ナターシャ・リチャードソン、キンバリー・ニクソン、ジュノ・テンプル、ソフィー・ウー、リンゼイ・コッカー、ジョージア・キング、シャーリー・ヘンダーソン、アレックス・ペティファー、エイダン・クイン、シェルビー・ヤング、ニック・フロスト、その他大勢

 遂にGW連休も最後となりましたね。皆さん満喫されたでしょうか?連休疲れで明日からしんどいですね。さて、今回はGWの最後を飾るに相応しい・・・かどうかはわからない作品です(笑)。

【ストーリー】
 アメリカの女子高生ポピーはワガママが行き過ぎて自宅パーティで大暴走。パパの堪忍袋はついにブチ切れ、ポピーはイギリスの寄宿学校へと送り込まれてしまう。イギリス一流の躾よりも一流ブランドや自由奔放を好むポピーは、現地のルームメイトとも馬が合わず、生徒会長に至っては速攻で犬猿の仲に。やがて、ポピーはわざと不祥事を起し、退学扱いを目論むことにするが・・・。



【感想と雑談】
 今回は、女子校生が弾ける学園コメディです。特別こういうジャンルも追ってる訳ではないのですが、本作のウリとしている異文化同士でのドタバタってのは気になるものです。アメリカとイギリスって同じ英語圏なのに文化や気質が全く違っているので、そういう関係に成り立つドラマって興味深いし、面白いと思うのです。『ホリディ』(’07)なんてのもまさにそんな作品でしたね。ケイト・ウィンスレットが良かったに〜。

 で、本作です。パパの後妻ウェルカムパーティと称し乱痴気騒ぎをする少女ポピーは、開始早々3分でパパの逆鱗に触れてしまいます。パパは相当のお金持ちなのか、そこは海岸沿いに構える豪華な屋敷。プールも付いてる。トニー・スタークかよ。とにかくポピーはイギリス名門の寄宿学校へと飛ばされます。

 舞台は一気にイギリスへと移ります。雨空の下、山間を移動する車を捉えるシーンは、アメリカのカラフルなイメージとは極端な対比となっていて非常に分かり易いです。到着する寄宿学校はこれまた古風なレンガ作り。周りの景観も手伝ってまるでハリポタみたいです。まあ、ハリポタがイギリスを舞台にしているので当然ですかな。後の「ここはホグワーツかよ」という台詞には笑えます。



 ここからイギリス文化に放り込まれたヤンキー少女ポピーのドタバタ生活がスタートします。伝統と統率を重んじる寄宿学校は、制服姿は勿論のこと様々なルールで縛られた厳しい環境です。イギリス人ルームメイト(4人との相部屋)からの孤立や、お約束の存在であるイジワル生徒会長with取り巻き連中との確執など、波乱の道のり。それでもくじけないポピーにはワクワクします。

 ポピーを演じるのはエマ・ロバーツ。体ちっさいな。ジュリア・ロバーツの姪だって。イギリス人役は全て本場の役者陣を揃えていてロケ地も間違いなく本場イギリス、ということで偽りなく本物を突き通した作りになってると思います。自分は西洋文化に詳しくないので、ひょっとするとウソもあるかもですが、少くとも海外で描かれる勘違い日本のようなレベルではないはず。

 学園生活なので、イジワル生徒会長やイケメン男子との関係がドタバタに拍車をかけますが、何よりもそんなさなかにイギリス文化が見てとれるところが素晴らしいです。本作はヤンキー娘がイギリスに単独入りするのが大半なので、双方の国の違いを対等に見比べることはできないのですが、それでもポピーの視点で映されるイギリスは新鮮で興味深いです。



 どうしてもイギリス生活から抜け出したいポピーは、ルームメイトからの提案で、不祥事を起し退学する計画を立てます。利害が一致することでルームメイトも協力し、ポピーは負のアピール拡散に忙しくなります。これが皮肉にもルームメイトとの親交を深め、イギリス生活を段々と受け入れていくという、ポピーの姿はお約束ではありますが、荒んでいた心情が溶け初めていく様はなかなかいいものです。

 仮装パーティでルームメイトらをハデに演出したポピーは、その際イケメン男子と急接近。この時、渾身のキーラ・ナイトレイ仮装(笑)をキメたイジワル生徒会長が大嫉妬しますが、普段はブサイクなのが実に可愛くなっていて、ちょっといいじゃない生徒会長、と思えるのは自分だけでないはず、ぐしし。閑話休題。生徒会長はポピーに怒り爆発、スパークしてしまいます。

 後日、イケメンとのデートを終え、ほっこり気分に浸ってるポピーに、ルームメイトがあるものを突き出します。それは、ポピーが友人に送ったとされるルームメイトや学校生活への誹謗中傷を含んだメール文で、校内にばら撒かれていました。初めのうちは確かに不満はあったが、そこまで書いてはいないし今の思いは全然違う、とポピーは懸命に訴えるもルームメイトは完全に冷めてしまいます。その後もポピーは騒動を起し、浮上してしまう念願だったはずの退学処分。



 メール流失事件をきっかけに問題は膨らんでいき、やがてクライマックスに雪崩れ込んでいきます。ホグワーツ(笑)並みの大講堂で開かれる裁判のような生徒会で、ポピーはいかにして活路を見出すのか。そしてルームメイトはポピーに何を思うのか。生徒会は思わぬ展開を見せ、学園コメディに相応しいオチを迎えることになります。当然でしょうな。

 ポピーとルームメイトら双方が作用し合うことで、お互いが抱えていた悩みや問題を解き放つという内容は、異国同士の関係も相俟ってなかなか深いものがあると思います。監督がどの国の方か不明ですが、テンポよくキレのある演出をされているので、重いこともなく学園コメディの王道として楽しめるのではないでしょうか。

 そういえば途中、ポピーが美容室に立ち寄りますが、そこのゲイ美容師をニック・フロストが演じていました。イギリスといえばのコメディ役者なんですかね。よくサイモン・ペグと共演してた印象があります。最近だと『宇宙人ポール』('11)なんてありましたね。

 同じ英語でも訛りの違いが面白いので、できればオリジナル音声で堪能すべきでしょう。


(C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『ワイルド・ガール』/ジェネオン・ユニバーサル

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