2014年7月21日月曜日

映画『スタンドアップ』 ・・・世界初のセクハラ訴訟にシャーリーズ・セロンが挑みます

●原題:North Country
●ジャンル:ドラマ
●上映時間:126min
●製作年:2005年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ニキ・カーロ
◆出演:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、シシー・スペイセク、ウッディ・ハレルソン、ジェレミー・レナー、リチャード・ジェンキンス、アンバー・ハード、ミシェル・モナハン、トーマス・カーティス、エリ・ピーターソン、その他大勢

 皆さんいかがお過ごしでしょうか?今日は海の日でした。天気もそこそこですが、ここはやっぱり映画三昧ってやつです。

【ストーリー】
 アメリカのミネソタ州。暴力夫と別れ実家に戻って来たジョージーは子供の為にも自立をするべく、地元の炭鉱会社に就職することにする。しかし、男社会の炭鉱会社では、女に職を奪われることへの反感や、性的嫌がらせが蔓延っており、ジョージーを含め女従業員は過酷な日々を強いられることになる。ある日のこと、高校の同級生でもあった同僚ボビーにレイプされそうになったジョージーは、意を決し炭鉱会社を訴えることにする・・・。



【感想と雑談】
 前から気になっていました。こういう作品も観たくなったりします。パッケージのシャーリーズ・セロンは随分ときれいだけど、オリジナルでは渋く化粧っ気なしの鬼気迫る表情。海外ならではのデザインですが、中身もその通りの内容となっています。実話をベースにしているそうです。

 暴力夫と別れ、北国ミネソタ州の田舎町に里帰りした子連れの若きジョージー。雪山が眩しいです。いい過去を持たないジョージーに町の連中は冷ややかで、迎えた父親もそっけない態度。母親は味方だけどなんだか説教がち。そんな状況で、子供の為にも自立したいジョージーは、地元の炭鉱会社に務めることにします。しかし、そこがまたとんでもない職場だったという。

 初日の出勤からして、男の上長からユーモアとか抜かされつつ卑猥な言葉を浴びせられます。男女の比率は100対1くらいでしょうか。圧倒的な男社会に放り込まれたジョージーら女性従業員の苦難が始まります。実話といっても脚色してるでしょうが、本当にあれだけの嫌がらせを受けていたんだろうなと思えるのも、これがセクシャルハラスメントが問題提起される以前の話だからです。



 男達の嫌がらせは言葉だけでなく、体にも手を伸ばすあからさまなもの。トイレ休憩もままならないところ簡易トイレを設置してくれたはいいけど、使用中に揺らされ、遂には倒されメチャクチャになるところはファンタジーを通り越して思わず笑ってしまうほどのヒドさです。こんな行為がまかり通る男尊女卑の世界。

 主人公ジョージー役をシャーリーズ・セロン。この女優さん、結構、土着感ありの強烈な役柄やったりしますね。実話や実在にも興味あったりするんかな。凄いメイクで実在の殺人鬼をやったり(これでオスカー取ってる)、いつまでも高校時代に固執する痛い女をやったりとか。本作も可哀想なだけでなく、過去のしがらみから悲痛な叫びを上げる業の塊みたいな役どころ。

 ジョージーの母親役をシシー・スペイセク。ジョージー同様に良くない高校時代を送ったキャリーというキャラクタのイメージを持って幅を出す為に配役されたのでしょうか。幸薄感と作り手の狙った感がたまりません。その他、結構、役者陣が豪華だったりします。父親をリチャード・ジェンキンス、幼馴染み夫婦をショーン・ビーンとフランシス・マクドーマンド、弁護士をウッディ・ハレルソン、そして、若きセクハラ野郎をジェレミー・レナーがやってます。



 '88年に世界で初めてセクシャルハラスメントを提起し勝訴した話として、女性従業員達も炭鉱会社も、とてつもない実績を残したようです。当たり前だった男社会に前例のないメスを入れた被害者たちと、理解を示した関係各位の勇気は、その後のハラスメントの扱いを決定的にした訳ですね。社長や重役連中の厚顔無恥の憎たらしさも、その後に辿る運命を思うと溜飲が下がります。ざまーみろ。実際、会社の上層部は一新され、初の女性幹部も配置されたのだそうです。

 ジョージーはセクハラに立ち向かっただけでなく、その過酷な過程において父親の理解を得ることができ、また、過去の愚行を正面切って見直すことで子供との確執も断ち切ります。ラストの車中で見せる、ジョージーと息子の晴ればれとした表情は印象的でした。このエピソードも実話なのかわかりませんが、『ブレードランナー』('82)劇場版のラストみたいな清々しさでよかったと思います。なにその例え。

 いろんなハラスメントが取りざたされてる昨今、自分はブログで好き勝手やってるし、本作をもとに声を上げたりなどしませんが、少なくとも人との直接の関わりにおいては、大事に慎重にしていきたいと思っています。普通に相手を尊重するだけのことですけど、残念ながらこれがうまく機能しなくなっているのも時代というやつでしょうか。



 そうそう、あとジョージーの高校生時代をアンバー・ハードがやってました。幼い娘もすんごい可愛い子役だったりして、ちょっと華がありすぎの感もありますかな。


『モンスター上司』('11)を見直そうか。


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【出典】『スタンドアップ』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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