2010年3月10日水曜日

映画『モンスター・オブ・ザ・デッド/ビキニビーチの惨劇』 ・・・ナマズ怪獣が本気を出すそうです

●原題:Monster from Bikini Beach
●ジャンル:ホラー/スリラー
●上映時間:95min
●製作年:2008年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ダーリン・ウッド
◆出演:ステファン・バーゴ、ゲーリン・ハワード、ステファン・ヒデゥン、ルイセル・ハンソン、アダム・サーク、その他大勢(ビキニ数十名)

 今回は久々の「~・オブ・ザ・デッド」ものです。ご多分に漏れず非常にヘッポコなんですが、それはオリジナル部分に限ってのことで、実は配給会社がとんでもないものを仕込んだ当たりクジみたいな作品です。

【ストーリー】
 アメリカのどこぞの町カマロビル。夜の川辺でカップルが遊んでいると、突然川から巨大ナマズが出現。男をなぎ倒し、女を川に引きずり込む。翌朝、カップルの変死体が発見されるや、地元カメラマンのアーチーとTVレポーターのラクエルが速攻で現場にやってくる。アーチーは昔から伝わる巨大生物の存在を訴えるがラクエルは相手にしない。その一方、地元の悪徳刑事サミーは麻薬組織からブツを巻上げようと躍起になっていた。成功したら嫌気のさしたカマロビルを去るつもりだ。ある日、サミーが目を付けていた麻薬組織のメンバが惨殺される。現場には巨大な足跡が残っていた。そこに駆け付けたアーチーとラクエルから巨大生物の話を持ちかけられるもサミーは聞く耳を持たない。そうこうしているうちにカマロビルでは若い女性で賑わうゴーゴーダンス大会が開催されようとしていた・・・。



【感想と雑談】
 「~・オブ・ザ・デッド」シリーズのタイトルも、散々ネタ出尽くしたかと思ってましたが、まだまだあるんですね。このタイトルに惹かれたのはいうまでもないのですが、手にしたパッケージの裏面を見た瞬間、衝撃が走りました。日本語吹替についてなんですが、実はこれ2種類入ってて、そのうちの一つがなんと「モンスターしゃべっちゃう」版。モンスターがしゃべるのかよ・・・。これについては後ほど語ることにして、まずはどんな作品なのかを紹介してみましょう。

 開始早々、夜の川辺でカップルが遊んでいます。ビキニ姿で踊る彼女と嬉しそうに酒を飲む彼氏。この踊る彼女ですが、いきなり尻のアップで登場するので、その飛ばし方から大体そういう作品であることがわかります。タイトルにビキニビーチってあるくらいですから。やがて我慢できなくなった彼氏は彼女の尻をムギュウーとします。すると、川から巨大ナマズが出現。

 デカい頭に人間サイズのボディを持つナマズ怪獣。ハリボテ全開です。サスペンスの定石がはなから木っ端微塵で、開始数分でその姿を現します。巨大なカギ爪で引っぱたかれた彼氏は安っぽい内臓をドバー、ビキニを剥ぎ取られた彼女はオッパイをドーン。お約束です。そして悲鳴を上げながら画面から消えていく彼女。この女優、残念ながら本作で一番可愛いかったりします。一応掴みはOKでございましょう。

 実はもの凄くチープで粗めの映像なんですが(ビデオ撮りかな)、この後のオープニングタイトルが正直カッコいいんですよ。緑色に揺らめく水面をバックに青く照らされたビキニ姿の女性が踊るだけという、シンプルながらも007のタイトルっぽさも感じさせるセンスなんです。ここで凄い作品なんじゃないかと思えてくるのですが、本編に戻ると冒頭のチープな映像に戻ってしまうので、ああやっぱりーとズッこけてしまいます。


(吹替えではカッパと呼ばれるアーチーと、TVレポーターのラクエル)

 変死体が発見されるや速攻で現場に登場する、主人公の地元カメラマンのアーチーとTVレポーターのラクエル。このアーチー、髪型が凄いです。アメリカ人にこんなヤツいるんかと思えるくらいにインパクト大。ラクエルはもうちとお肌の手入れをされた方がヨロシイんじゃないかという残念な美人さんです。でもサービスタイムのシャワーシーンで全裸になってくれるのでヨシとします。

 この2人とは対照的に裏で暗躍する刑事サミー。足が本当に悪いらしい初老の役者が演じてます。怪獣エピソードに全然絡まずオープンカーを運転しては、一人ナレーションでブツブツ喋ってるだけ。ヘッポコな作風からするとやたら重厚な演技をカマしてるので非常に浮いてしまってます。いったい脚本にどんだけ幅を持たせようとしているのか。結局、アーチーとラクエルに合流し怪獣と対決することになりますが。

 カマロビルは昔は広大な沼地だったらしく、そこに生息していたナマズが何故か巨大化。川辺周辺に出現しては人を襲うだけの存在となった模様です。やたら女性好きらしく、ゴーゴーダンス大会のビキニ女性らを最終ターゲットにします。特殊メイクや造型もチープでいい加減なんですが、展開や演出具合からすると味わい深いものがあります。クライマックスの大暴れシーンでは1カットだけCGによる首チョンパがあって、ここだけ豪勢にするのはどーかと思いました。ラストは刑事サミーの機転(というか暴走行為)で一応ハッピーエンドを迎えますが、溜飲はこれっぽっちも下がることはありません。オリジナル音声ではね。

 一通り観終わってから、再びタイトル画面にゴー。
 そして、お待ちかねの吹替え「モンスターしゃべっちゃう」版にチェンジ!!

 初っ端から豪快な吹替えが始まります。オリジナルでは一切会話のなかった川辺のカップルがしゃべりまくります。出オチに近いです。アドリブでしょうか。2人は一切クチを動かしてないというのにこの情報量。ここだけでも通常の吹替え版と同じなんですから、モンスターがしゃべりだすと一体どうなるのか。ほどなくナマズ怪獣が出現しました。

 凄いです。色々しゃべってきます関西弁で。なんかボヤきに近いです(笑)。捕らえた彼女を引きずり画面から消える際には「はい、フレームアウトー」とか言ってます。この「モンスターしゃべっちゃう」版は通常吹替えにモンスター吹替えを追加したものですが、既に通常吹替えからして暴走しまくってて、普通しゃべらないオブジェまでもガンガンしゃべったりします。トーテムポールとか。最初、誰の吹替えやってんだよと思ってしまいました(笑)。


(アーチーにラクエル、そして友人たち。とにかく残念な一行です)

 ナマズ怪獣は出現する度にしょーもない台詞を大連発。川辺にいるアーチーとその友人の目の前に出現し「M字開脚しろや、ほれぇー」と放つと、殴られでんぐり返った友人はズーズー弁で「うぁー、M字開脚ぅ」と返します。その後、暴れまくるナマズ怪獣から友人に再びカットが戻ると、まだでんぐり返ったままで「M字開脚ぅ」と繰り返します。怪獣も怪獣ですが友人も友人。下らなさすぎるだろ(笑)!!

 この「モンスターしゃべっちゃう」版が本作の吹替えマックス値になっていて、全ての配役が色々と大暴走してます。オリジナルの展開は最低限保った状態で、声優さんが出演者らの容姿のことやその場で思い付いたようなことをベラベラしゃべりまくる感じですね。最後の最後までそんな調子。これはもうオリジナルとは別次元の作品へと昇華しています。大変素晴らしいです。

 こんな作品に惹かれるのって、幼少の頃から楽しんでいたギャグ映画とかアニメ番組の影響でしょうかね。特に「怪獣王ターガン」というアメリカ産アニメの吹替え。あまりのメチャクチャさにこれ絶対にアドリブだよなと思いながら観ていたものです(笑)。配給会社のJVDはメチャクチャな吹替えでは定評があるそうで、今回もだいぶカマしてくれたようです。そういえば初期に記事にしていた『マシーン・オブ・ザ・デッド』もJVD発でした。これも相当メチャクチャな吹替えで、本作を観ていてなんか似てるなーと思っていたら配給元が一緒だった訳です。納得。他の配給作品も観たくなってきました。

 そういえば今年2010年のアカデミー賞が発表されましたね。そんなメインストリームからかけ離れた本作ではありますが、逆にアカデミー賞作品なんかでは味わえない魅力全開な作品なんだと思います。が、やっぱし無理がありますか。


(一応、ゴーゴーダンス大会が惨劇に見舞われます)

 しかし、ビーチ、ビーチいう割には川辺しか出てこなかった気がする。川辺も砂浜があればビーチって呼ぶんでしたっけ? 

『Beach Girls And The Monster (1965) - Trailer』 ひょっとして、これのリメイクなんか?!
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