2015年11月29日日曜日

映画『ドン・ジョン』・・・ もの凄いスカヨハを存分に堪能します

●原題:Don Jon
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:90min
●製作年:2013年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョセフ・ゴードン=レビット
◆出演:ジョセフ・ゴードン=レビット、スカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア、トニー・ダンザ、グレン・ヘドリー、ブリー・ラーソン、ロブ・ブラウン、ジェレミー・ルーク、その他ポルノ動画大勢

【ストーリー】
アメリカ。リア充の独身男ジョンは夜な夜なナンパする人生を送っていた。今日も美女とベッドインしたジョンは、事が終わった後である行為に没頭する。それはネットでポルノ動画を鑑賞し全力投球することであった。生身の女性とどれだけ付き会おうが、ジョンはポルノ動画に別次元の快楽を求めていたのである。ある日のこと、ジョンはセクシー美女バーバラをナンパするが、彼女が予想外に夢見る乙女だったので調子が狂いだす。更には、もう一人の女性エスターとも知り合ったことで、ジョンは人生の一大事を迎えることになる・・・。



【感想と雑談】
 ジョセフ・ゴードン=レビットは、『インセプション』('10)や『ダークナイト/ライジング』('12)でのスマートで堅物なイメージが強かったので、今回の変貌具合にはちょっと驚いてしまいました。主人公ジョンを演じるだけでなく、脚本と監督までやってるなんて、

 これがジョセフの本気ってやつ。

 クラブでナンパしては持ち帰り、自宅で合体し終わると、添い寝する美女をそっと退け、ジョンは別室でパソコンをパカと開けます。そしてポルノサイトを呼び出し、今日のオカズとなる動画を物色します。ポルノ動画の快楽こそ至高とのたまうジョン。この時ターゲットオンすると全力投球でアヘ顔になるところ、全盛期のロバート・パトリックを思い出してしまいました。液体金属ロボT−1000の人。ちょっと似てませんかね。

 今回の目玉はスカーレット・ヨハンソンでありましょう。我らがスカヨハ。ビバ!スカヨハ。ブロンドセクシー美女バーバラ役の匂い立つエロさ本領発揮ですよ。本当に素晴らしい。ジョンの期待とは裏腹に純愛と家庭を重んじるバーバラは、初デートでいきなりジョンを映画に誘いますが、当然それは恋愛作品だったりします。スクリーンを恍惚な表情で見つめるバーバラの顔面ドアップは圧巻です。



 ここで鑑賞する架空の恋愛作品ですが、恋人同士をチャニング・テイタムとアン・ハサウェイが演じています(笑)。街角で出会い、愛し合い、ビンタを食らい、涙ながらに許しを乞い、遂に結婚し、そしてオープンカーで疾走する、というもの凄くベタな展開にジョンは辟易しますが、それでもバーバラの超絶セクシー美女ぶりに、今までない感情で突き進むことになります。わかる、わかるぞ。しかし、付き合っていくうちに、バーバラに対し違和感を覚えることになるジョンです。

 ところどころ登場するジョンの家族がまたいい感じです。マフィアみたいなパパはタンクトップ姿でやたら凄むけどジョンに彼女ができたことを嬉しそうにするところが可愛い。ママも豪快で明るくて可愛い。妹はいつも無口でスマホを弄ってるけど実は有能だったりする。この家族と共に日曜礼拝に参じる度、ジョンは婚前の性交渉とポルノ鑑賞(笑)を懺悔しますが、その様は逆に自分の罪を正当化しているようにも見えます。宗教のスタイルも様々なのでしょうか。

 絶好調なジョンの前に現れる熟女エスターを演じるはジュリアン・ムーア。登場した途端、いきなり泣きだします。『ブギーナイツ』('97)でも離婚調停で親権を奪われ号泣するポルノ女優役をやってたのでどうしても重なってしまいました。あれは名演技でありました。バーバラとは真逆の性格を備えたエスターの登場によって、ジョンの人生に変化が起こります。エスターが示すジョンへの態度は、バーバラとは対象的に心地よいものです。ビバ!スカヨハに変わりはないですが、年上の女性もいいものですね。一方、かつて『がきデカ』でこまわり君がいった「年上にも限度がある」にも同感ではありますが。意味不明。



 中盤、バーバラがジョンの嘘つき行為を問いただすところは、スカヨハのプンプンすぎる演技が可愛いし大笑いもできたので、コメディに間違いないなとは思いましたが、この作品、間違いなくファミリー鑑賞はNGです。ポルノ動画やポルノ用語が満載ですので。こういう男性の心理を描いた作品は、女性に受け入れられるのか嫌悪感を抱かれるのか気になるところです。

 もの足りなさは感じますが、こういう題材を面白い視点でさらりと描いている辺り、ジョセフ・ゴードン=レビット監督の今後に期待したいと思います。次作もスカヨハを起用して下さい。

 ところで、ジョンが閲覧しまくるのが『PornHub』というポルノサイトなんですが、これ実在するサイトなんですね。動画配信だけでなくオリジナル商品も発売しているアメリカでは大手のサイトのようです。で、最近、このサイトへのアクセス数が激減した期間があったそうで、それがアメリカ産ゲーム『Fallout4』が発売された直後のことだそうです。RPGの最高峰といわれる大人気のシリーズ最新作なので、世界中の男性陣はポルノそっちのけでプレイに没頭したという(笑)。わかる、わかるぞ。


 スカヨハの体のラインが凄すぎる。


<追記>
 ジョセフはロバート・ゼメキス監督の最新作『ザ・ウォーク』('15)で究極の綱渡り師を演じるようですね。シリアス系ですがゼメキス印のジョセフも楽しみです。


(C)2013 Don Jon Nevada, LLC. All Rights Reserved.
【出典】『ドン・ジョン』/KADOKAWA/角川書店

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2015年11月15日日曜日

映画『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』・・・ 盛大なバードウォッチングが人生を左右します

●原題:The Big Year
●ジャンル:コメディ/ドラマ
●上映時間:100min
●製作年:2011年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デビッド・フランケル
◆出演:ジャック・ブラック、オーウェン・ウィルソン、スティーブ・マーチン、ロザムンド・パイク、ラシダ・ジョーンズ、アンジェリカ・ヒューストン、ジョベス・ウィリアムズ、その他大勢

【ストーリー】
アメリカ。1年間でウォッチングした鳥類の数を競う大イベントのザ・ビッグイヤー。今年もチャンピオンのケニーがタイトル防衛をするべく参戦するが、そんな彼をライバルとして同じく参戦する二人の男がいた。サラリーマンの独身男ブラッドと大企業の社長スチューである。3人の男達は相手の腹を探りながら、様々な攻防戦を続ける。今年の勝者はいったい誰になるのか・・・。



【感想と雑談】
 最初、どーしよーかな、と迷っていたのですが、出演陣に女優ロザムンド・パイクの名前を見つけた瞬間、即決しレジに向かってしまいました(笑)。しかしこれ、単なるバードウォッチング好きのドタバタコメディかと思っていたのですが、随分と違ってました。

 アメリカにこんな競技があったとは。

 アメリカ全土をまるまる1年かけて鳥類を追っかけ、ウォッチした数が一番多かった選手が優勝なんだって。スタートは新年明けた瞬間で、ゴールは年末の年越し直前。厳格なルールやコースとかは存在しないようで、とにかく色んな鳥をウォッチした数を自己申告していくだけの競技。

 審査員が常に張り付く訳でもなく、各選手のみで走り回って、ウォッチする度に「○○○○を見たぞー」と叫んでメモるの。アメリカではこういう規模の競技にもなると、不正するとかの発想の余地もなく、真面目にバカがつくほど一途な夢に向かって爆走するんでしょうな。

 1年もの間、どれだけバードウォッチングに時間を割き、またコストをかけられるかなので、凄まじく生活にも影響が出ます。アメリカ全土が対象になると、旅費も莫大だし、仕事も休みがち。家庭持ちだと理解を得るのも大変。さすがアメリカ、鳥好きもスケールが違い過ぎます。アホか。



 そんな競技にぞっこんな3人の男が主人公です。700種以上もの記録を持つチャンピオンのケニーを演じるはオーウェン・ウィルソン。仕事も成功していて妻がロザムンド・パイク(!)だというのに鳥のことで頭がいっぱい。親と同居中の独身男ブラッドを演じるはジャック・ブラック。厳しい生活状況だというのに鳥のことで頭がいっぱい。大企業の社長スチューを演じるはスティーブ・マーチン。部下に引き止められながらも悠々自適に鳥のことで頭がいっぱい。芸達者が勢揃いですね。

 この男達がそれぞれどんな背景を持って鳥に挑むのかを延々と追っていきます。コメディというよりも、軽快で洒落た人間ドラマという感じでしょうか。『プラダを着た悪魔』('06)や『31年目の夫婦げんか』('12)のデビッド・フランケル監督らしいスマートさですね。

 実話をもとにしているそうですが、ちゃんとエンタテイメントしているところは感心するばかりです。しかしまあ、よくぞこういう作品を撮ったなと思いますね。神出鬼没な鳥を追うのに、様々な大自然を舞台にしているので、裏方の苦労も相当なものだったのでは。VFXも使ってはいたようだけど。



 ブラッドとスチューの二人は家族の受け止め方や立場も違うけど、競技の勝ち負けよりも互いを尊重し合える関係になるのは微笑ましたかったです。

 この二人とは対照的に、ケニーが競技終了後にある光景を複雑な表情で見つめるところは、そこに被さる「欲しいものを得る為に払う代償の大きさ」を説くナレーターの声も相俟って、とてもしんみりする場面でした。

 地味な印象のバードウォッチングですが、本作はアメリカナイズされたスケール感でテンポもよく見易かったです。ジャック・ブラックが期待通りの顛末を見せてくれるところも、お約束といえばお約束ですね。大団円とはいきませんが楽しめる作品でした。

 ところで、ロザムンド・パイクなんですが、三枚目な役かと思っていたら意外とシリアス調だったので、『ゴーン・ガール』('14)がちょびっとだけ浮かんでしまいました。いかすぜ、ロザムンド。


 しかし鳥類が700種以上ってどんだけいるんだよ。


(C)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

【出典】『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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2015年11月3日火曜日

映画『ロイヤル・セブンティーン』・・・ 米国ヤンキー娘の突撃で英国貴族がパニックに陥ります

●原題:What a Girl Wants
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:105min
●製作年:2003年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デニー・ゴードン
◆出演:アマンダ・バインズ、コリン・ファース、ケリー・プレストン、エイリーン・アトキンス、アンナ・チャンセラー、ジョナサン・プライス、オリバー・ジェームス、クリスティーナ・コール、その他大勢

【ストーリー】
アメリカ。女子高生ダフネは母リビーとの二人暮らし。かつて英国貴族の父ヘンリーと結婚したリビーだったが、ダフネを身ごもった直後に離婚していたのである。ダフネはリビーと向き合うに連れヘンリーへの思いが強くなっていた。ある日のこと、ダフネは一大決心し、ひとり英国に飛び立つのであった・・・。



【感想と雑談】
 レンタル店で何気に手に取った作品ですが、これが当たりでした。異国に乗り込んだ女子高生が、文化の違いに揉まれながらも父親探しに奮闘する展開には、心のガッツポーズもフル全開です。我ながら意味不明です。

 以前にも、同様の米国女子高生の青春もの『ワイルド・ガール』('08)を記事にしました。米国と英国はお互い同じ英語圏なのに、文化と性質に違いがあってとても興味深いです。異国同士なら大抵は楽しめますが、英語の訛りの違いも加わる面白さから、米国と英国の関係がダントツ盛り上がりますね。

 ダフネを演じるアマンダ・バインズの可愛いこと。米国ではケリー・プレストン演じる母親リビーのアシスタントみたいな生活を送っていてパッとしない存在なんだけど、父親に会いたい一心で英国に乗り込んだ以降は、天真爛漫な威力を発揮します。英国からすれば奇行の塊が大爆進。

 名門貴族の父ヘンリーを演じるはコリン・ファース。なんでもこなす実力の英国名優ですね。一気に画面が引き締まります。ダフネの存在に驚き、こっそり米国のリビーに電話すると、事情を察知し、遂に観念するヘンリー。名門の体裁とスキャンダルの間に揺れるナイスガイです。



 ヘンリーには側近というか知恵袋みたいなジジイがいて、自分のバツイチ娘と孫娘を家系に宛てがおうと策略してるの。いずれヘンリーが政界入りしたら甘い汁吸うたろかな腹黒ファミリーで、ダフネが邪魔で仕方がない。英国流儀も相俟った悪の存在であり、米国人ダフネとの対比が凄く鮮明になります。

 貴族の地味なファッションショーに間違って紛れ込んだダフネは、調子こいてステージを闊歩してしまい、英国人を仰天させます。頭を抱えるヘンリー。しかし、英国人はダフネの斬新さに感銘し応援するようになります。ダフネざまあー、とほくそ笑んでいた腹黒ファミリーがざまあーの瞬間です。こういう痛快さがいいですね。

 『ワイルド・ガール』は父親との交流はあるものの女子高生のほぼ独走状態でしたが、本作は異国間の女子高生と父親を対等に描いていて格調の高さも伺えました。貴族でいるより自由に生きたいヘンリーの葛藤が爆発し遂ににハメを外すところや、そんな親だけにダフネと瓜二つの点があるところは、笑いのポイントです。

 意外や製作年が2003年と古いのですね。最近の作品かと思えるくらいの垢抜けさです。若めのコリン・ファースがなかなかのイケメンで、ひとりレザーパンツで踊り狂うところは、『ラブアクチュアリー』('03)のヒュー・グラントを思い出しました。・・・ああ、この作品でもコリン・ファースがいい味出してたっけ。



 ちょっと気になった点は、実在する英国の伝統や文化、性格なんかを利用してコメディの踏み台的な描き方をしているところでしょうか。ハリウッドに一方的にやられている感。しかしまあ、英国にしてみれば自国の堅苦しさを打開したい思いもあるでしょうし、派生国のオープンな米国に見とれる部分もあるのだと思います。エンタテイメントの世界では余計な心配なのかもしれません。

 そういえば、『ラブアクチュアリー』には、英国女に嫌気の差した男が渡米して米国女をはべらすエピソードがありましたね。米国女が英国訛りを楽しむコントが秀逸すぎるし、結構好きだったりします。もっとそういうのやれ英国。

 なんだかんだ、異国同士のドタバタは楽しいし(え)、固定観念やルールが際立つことで新たな発見やヒントも得られるんじゃないか、と思いますね。とにかくアマンダ・バインズとコリン・ファースがいいのでお勧めです。

 と書いておいて、アマンダ・バインズのその後を調べてみたら、本作以上の奇行ぶりに驚いてしまいました。なんだ?マリファナ所持とか、ひとん家に勝手に入って焚き火とか、飼い犬にガソリンをぶっかけたりとか、って。どーしたアマンダ。ダフネの健全さはどこにいった?女優業は終了しているようで非常に残念であります。

 ついでに、ダフネの母親リビーを演じたケリー・プレストンも調べてみたら、「夫のジョン・トラボルタと共演した『バトルフィールド・アース』('00)で、ゴールデンラズベリー賞の「最低助演女優賞」を受賞してしまった」とのこと。やるじゃん。


 英国はかつて洋楽ブームで大変お世話になった国。


(C)2003 Warner Bros. Entertainment Inc. and Gayload Films LLC.

【出典】『ロイヤル・セブンティーン』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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