2014年11月29日土曜日

映画『永遠に美しく』 ・・・永遠の美を追求すると何故か体がおかしなことになります

●原題:Death Becomes Her
●ジャンル:コメディ/ファンタジー
●上映時間:104min
●製作年:1992年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:ロバート・ゼメキス
◆出演:ブルース・ウィルス、メリル・ストリープ、ゴールディ・ホーン、イザベラ・ロッセリーニ、アライナ・リードホール、シドニー・ポラック、その他大勢

 11月ももう終わりですね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?今回は今更感のメジャー作品ですけど、思い入れのある作品でもあるので挙げてみました。

【ストーリー】
 アメリカ。落ち目の女優マデリーンと落ち目の作家ヘレンは学生時代からのライバル同士。ある日、ヘレンはフィアンセの整形外科医アーネストを紹介しようとマデリーンの楽屋に訪れる。しかし、数日後の挙式で夫婦になったのはアーネストとマデリーンであった。速攻でフィアンセを奪われたヘレンはマデリーンへの復讐を誓う。十数年後、年老いたものの悠々自適に暮すマデリーンに、ヘレンから出版記念パーティの招待状が届く。どう馬鹿にしようかほくそ笑むマデリーン。しかし、そこで待ち受けていたのは美しく若返ったヘレンであった・・・。



【感想と雑談】
 思い出深い作品です。もう店頭には置かれなくなったものと諦めていたのですが、先日、開店して間も無いレンタル店で見つけたので、速攻借りてきました。いいぞレンタル屋。

 しかし、何回観ても面白いなコレ。

 誰もが夢見る永遠の美。これに執着し過ぎて一線を越えてしまった愚かで醜い人間を描いたファンタジー作品です。豪華な役者陣にコメディ調の作りなんですが、ブラックな要素満載なので評価はイマイチのようですね。私は好きすぎて堪らない作品なんですが。

 ライバルの女二人が、ある秘策をもとに一人の男を巡って争い、後に和解をするも今後の人生のメンテナンスに四苦八苦する、という永遠の美への代償が恐ろし過ぎる様を、ロバート・ゼメキス監督らしいお笑いセンスで描いています。美しく若返らせ永遠の命を授けるが、物理的に頑丈な体になる訳ではない、というファンタジーに持ってくる辺りが監督らしい毒要素だと思います。



 女優マデリーンを演じるメリル・ストリープと作家ヘレンを演じるゴールディ・ホーン、そして成形外科医アーネストを演じるブルース・ウィリスらの立ち振る舞いは、どれも半端なく、さすが名優であることが伺えます。三人ともこの手の作品に出るのは初じゃないでしょうか。特に感心するのがウィリスで、アクションヒーローとは正反対にマデリーンの尻に敷かれたダメ男ぶりが実に素晴らしい。女二人の一騎討ちにオロオロし、弾き出されるところが情けなくて、なんだか可愛い(笑)。

 永遠の美マスター・リスルを演じる女優イザベラ・ロッセリーニは、キリリとした顔付が印象的で、肝心なところが見えそうで見えない衣装が気になって仕方なし。元モデルで女優イングリッド・バーグマンを母に持つそうです。綺麗な人です。

 またクレジットされていない脇役として社会派の名監督シドニー・ポラックがER医師として登場しますが、これがなかなかのコメディ振りで大笑いしてしまいます。コント的な聴診器の扱いとか上手いよなあ(笑)。



 首が後ろ向きのマデリーンや、腹に穴の開いたヘレンの描写は、特撮工房ILMの仕事ながら、当時最新だったCGやモーフィング技術も、昨今と比べるとチープに見えてしまいます。でも、それが味わいというものだし、あまりリアル過ぎるのも問題ですよね。因みに、ILMがオプチカル・プリンターを最後に使った作品になるそうです。以降、合成画面なんかは全てデジタル上で処理されるようになってるってことかな。

 画面といえば今回、久々に見ていきなりの違和感が。なんと画面サイズが1.33対1なんです。昔のテレビ画面と同じですよ。メジャー作品でこんなのアリなんだっけ?そういうバージョンかなと思って調べたら、これが正式サイズなんだと。これはワイド画面で見たいよなあ。実は公開当時に観に行ってるのですが、全然覚えていないという自分(笑)。

 さて、本作はオリジナルからして傑作ですが、日本語吹替えがまた奇跡の面白さを生み出しています。日本テレビ版の吹替えが絶品で、センスある翻訳と声優陣の腹に染み渡る渾身の演技が全てのキャラクタを際立たせているのです。残念ながらDVD版は翻訳も声優も変わっていて、行儀が良すぎるというか、バカさが足らないというか、全然面白くないです。



 日本テレビではもう放映されない気配で、二度と耳にすることは出来ないかもしれません。昔録画したビデオテープが残ってるはずだけど、どこに仕舞ったっけな。出てきてもデッキが無いので観ることできないけども(笑)。記憶の範囲で、印象に残っている吹替え具合をちょっと紹介・・・

<屋敷の階段前でマデリーンがアーネストに暴言を吐くところ>
 「こぉのフニャチンがぁ〜!ふにゃぁ〜、ふにゃぁ〜〜」

<屋敷のプールで男女カップルが満喫しているところに、突然アーネストが天井を突き破って落ちてくるところ>
  男「あれぇ?」
 水面でジタバタするアーネスト。
  男「オッサン、泳ぐのか出るのかどっちだよ」
  アーネスト「んああ、出てやる!出てやるとも!!」
 急いでプールから這い上がり去っていくアーネスト。
  男(女に向かって)「オッサン、結構やるよな」

 こんな感じ。文字にすると何でもない台詞ですけど、映像と吹替え音声の組み合わせは奇跡のシンフォニーです。どこかアドリブっぽいのもテレビ版の魅力になるでしょうか。

 ブルーレイ版はまだのようなので、リリースの際は是非、日本テレビ版の吹替えも入れて欲しいと思います。

 最後の方で、神父が真の永遠の命とは云々かんぬん講釈しますが、これを聞いたマデリーンとヘレンが全く顧みないところが潔いですね。二人の顛末が永遠に語り継がれることを祈ります。


 白い目で懇願してくる二人が夢に出てきそうだけど。


(C)1992 Universal City Studios,Inc. All Rights Reserved
【出典】『永遠に美しく』/ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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2014年11月23日日曜日

映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 ・・・スーパーソルジャー同士が実弾&肉弾戦で一騎討ち

●原題:Captain America: The Winter Soldier
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/SF/スリラー
●上映時間:136min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
◆出演:クリス・エバンス、サミュエル L・ジャクソン、スカーレット・ヨハンソン、ロバート・レッドフォード、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、コビー・スマルダース、フランク・グリオ、エミリー・バンキャンプ、トビー・ジョーンズ、ジェニー・アガター、マキシミリアーノ・ゴンザレス、その他大勢

 すっかり寒くなってますね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?3連休はどこかへお出かけですかな。今回はかなりメジャーな作品です。大ハマリしたので、いつもの体裁を変えてみました。

【ストーリー】
 アメリカ。第二次大戦中にスーパーソルジャー化し、ドイツ軍のオカルト集団ヒドラとの戦闘で勝利を収めた後、現代に甦ったキャプテン・アメリカことロジャース。生活様式に戸惑いながらも、ニック・フューリー率いる組織シールドの一員として多忙な毎日を送っていた。フューリーはシールドが提唱する世界平和を目的とするインサイト計画に疑惑を感じ内密に調査を行うが、その過程で暗殺者ウィンター・ソルジャーに襲撃され命を落としてしまう。シールド上層部はフューリーの行動がインサイト計画を陥れるものだったとし、直属の部下であるロジャースを追跡しだす。窮地に追い込まれたロジャースは、仲間のナターシャとファルコンと共に、真の敵を暴くため行動を起こすが・・・。



【感想と雑談】
 前作の『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』('11)がちょっとイマイチの印象だったので敬遠していましたが、ブラック・ウィドウが出とるし(笑)ひょっとして・・・な思いで手を伸ばしました。

 なんだこれは、素晴らしすぎる。

 スーパーヒーローが荒唐無稽な存在であるのに変わりはないのですが、それを取り巻く要素を限り無く実社会ベースで描いているのですね。目線が安定しているし、地に足が着くどころか、首辺りまでぶっすり突き刺さっています。

 半端ないスケール感でありながら、政治策略と近代戦略、そして近代戦術の様が丁寧に描かれていて、空想と現実が違和感なく同居しているし、表裏入り乱れるドラマ性で上質なサスペンス・スリラーとして成り立っているのが実にいい。この漲る緊張感よ。

 特筆したいのがアクション面なんですが、オカルト的な能力、超常現象、ビーム系の兵器なんぞは登場せず、あくまでも近代的な戦術を基本とする描写のキレのよさ。監督アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟の手腕はとにかく見事です。

 ロジャースもウィンター・ソルジャーも尋常でない能力を飛び道具や素手を通して発揮し、ナターシャやファルコンがサポートを務め、また組織や戦闘集団らが対等に参戦し暗躍するところも、世界観に幅を効かせているところです。

 あ!我らがスカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウことナターシャのことだけで盛り上るはずだったのに、それだけでは全然収まらない勢いになってしまいました(笑)。今回、紅三点なところもあって、他のシールドの女性エージェント2名の活躍ぶりも高得点。参りました。

 個人的に従来のスーパーヒーローものではお目にかかれなかった感動のシーン(演出)をいくつか挙げてみたいと思います。

<ハイジャックされたシールド船舶>
 船舶のコンピュータ室でテロリストから爆弾を放たれた直後、咄嗟にロジャースがナターシャを抱えてジャンプするところ。なんとナターシャは飛び込む先のガラス窓を瞬時にハンドガンで打ち抜くのです。サブリミナル効果のごとくナターシャの性能アピール。


<ビル街で襲撃を受けるニック・フューリー>
 車輌の強化ボディを打ち抜くのに、丸太(破城槌というそうです)のマシンを持ち出すところ。安易に重火器に頼るだけでなく、専用の装備を持ち出すところがリアルですね。ご丁寧に三脚を固定する様まで映しています。『ダイハード』('88)でも同様に迫撃砲を固定するシーンがありました。


<高速道路での戦闘集団とウィンター・ソルジャー>
 車輌から放り出されたロジャース一行に、追っ手の戦闘集団とウィンター・ソルジャーが協同で猛攻撃をかけるところ。チームワークで行動するところに説得力を感じます。ウィンター・ソルジャーが高架下に逃れた一行を狙うのに、戦闘員とすれ違いざまに小銃を受け取るところは、何気すぎて鳥肌ものでした。


<ビル街でのタイマン勝負その1>
 高速道路からビル街に逃れたナターシャにウィンター・ソルジャーが迫るところ。グレネードランチャーで警察車輌を吹っ飛ばした後、無言でナターシャに忍び寄る際の静寂とサスペンス度がたまりません。ナターシャの小気味よい返し技もいいです。


<ビル街でのタイマン勝負その2>
 ナターシャを助けに駆け付けたロジャースがウィンター・ソルジャーと勝負するところ。サブマシンガンとハンドガンを至近距離で撃ちつくすという有り得なさですが、何故か理にかなった動きにしか見えません。また、ウィンター・ソルジャーはナイフを取り出し接近戦に入りますが、その素早い動きの中、ナイフを宙で掴み直したりします。この運動神経とリズム感は半端ないです。


<ヘリキャリアの発進>
 ロジャースが発進し出したヘリキャリアの甲板を疾走するところ。背景の空や巨大な建造物がそびえる様、そしてその空気感が凄まじいです。どう見ても完全ロケにしか見えないのですが、やっぱりこんな実物を作れるはずはないので、底無しCGの表現力に身を任せるしかないです。


 と、こんな感じでハッとさせる描写が満載なんですね。現実的な設定と編集の上手さがスーパーヒーローと組織力のバランスを上手くとっていて、さらにスリルとサスペンスがこれを底上げしているのです。

 シールド上層部の1人を重鎮ロバート・レッドフォードが演じているのも、社会派スリラーの重厚さも出してる要因ですね。なんと今年78歳なんだとか。お若く見えますね。それにしても、アメコミ原作の映画化も随分と地位が上がったものです。逆にそれしかネタがないのかよ、と危惧もしちゃいますけど。

 前作は、第二次大戦を背景に米軍がスーパーソルジャー化計画を成功させた訳ですが、本作の元凶となるナチスのオカルト組織ヒドラが登場するも、超常現象が登場するわ、頭領レッドスカルの存在がファンタジー然にしか見えないわで、なんともフワフワしてイマイチでした。レトロな時代の夢や未来感が先走ってたのかも。

 本作は、そのヒドラの残党が暗躍するのですが、あくまでも現代的で血の通った世界を構築しているところがよかったと思います。レーザー光線がビービーとか、怪物がうがーとか、オカルトや異次元がどうとか、もうそういうのを受け付けなくなってるようです自分は。

 布石がてんこ盛りで次作が気になるところですが、お約束のエンドクレジットのエピソードがまた驚愕なんですよね。え、そんな展開に持っていくの?方向性がちょっと心配。でも、本作の兄弟監督が続投とのことなので、期待しちゃっていいかな。


 女エージェント3人衆には頑張って欲しい。


(C)2014 Marvel
【出典】『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』/ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

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2014年11月2日日曜日

映画『キューティ・バニー』 ・・・陽気なブロンド元プレイメイトが、不人気の女子寮を盛り上げます

●原題:The House Bunny
●ジャンル:コメディ/ロマンス
●上映時間:97min
●製作年:2008年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:フレッド・ウォルフ
◆出演:アンナ・ファリス、コリン・ハンクス、エマ・ストーン、カット・デニングス、キャサリン・マクフィー、ラマー・ウィリス、カイリー・ウィリアムス、ダナ・グッドマン、キンバリー・マッコウ、モネット・マズル、タイソン・リッター、サラ・ライト、レイチェル・スペクター、ビバリー・ダンジェロ、ヒュー・ヘフナー、その他大勢

 11月に入っていました。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?あと2ヶ月弱で今年も終わりなんですね。本当に早いものです・・・。で、この3連休はおそらくレンタル三昧です(笑)。

【ストーリー】
 アメリカ。両親に見放され、プレイボーイマンションに孤児として迎えられたシェリーは、新な家族に囲まれ幸せな毎日を送っていた。そんな彼女が27歳を迎えた誕生日のこと、主のヘフナーから手紙越しに突然の退去命令を受けてしまう。意気消沈のシェリーは暫く街を彷徨い、ある大学の女子寮に辿り着く。そこは寮母が不在で閉鎖間近という危機に陥っていた。心機一転、プレイボーイマンションでの経験を活かせると確信したシェリーは、寮を復興するべく寮母に志願する・・・。



【感想と雑談】
 ここのところ、コメディ作品をよく探すようにしています。なんでだろうか。疲れてるのかな(笑)。つい惹かれて手に取った本作ですが、なんともこの邦題がいいですよね。原題は寮母とプレイメイトの掛け合せみたいなもんですが、これを陽気で七変化な語呂合わせの邦題にした配給会社。やるじゃん。

 ブロンド(金髪)の女の子の場合、色んな意味でパーな役どころが大半な気がします。内面の品格が、外面の華やかさとは反比例する見方がどっかにあるのでしょうね。本作もそんな扱いの主人公が、いかにして反感や批判を乗り越え、皆をハッピーにさせるかが勝負どころになっています。

 親に捨てられた不運のシェリーは、プレイボーイ誌の創設者ヒュー・ヘフナー氏(本人が演じてます)がお抱えプレイメイトと住む豪邸プレイボーイマンションに迎えられます。自身もプレイメイトになるべく天真爛漫に成長したシェリーは、ヘフナー氏をはじめ大勢の仲間から愛されていました。冒頭、プールサイドで天然な言動をかますシェリーが素晴らしいです。見事なブロンドパーですが、うーん、やっぱし男であればこういう女の子には惹かれるもんですよ、ね。(自分だけか)



 存続危機の女子寮ゼータでは、内向的で何らかのコンプレックスを抱えた7人ばかしのダメ寮生たちが、シェリーを迎えます。そして、向かいのセレブな女子寮ミューに人気が集るさなか、存続の条件とされる寮生30名の登録をなんとかして達成するべく、シェリーとゼータ寮生達は意気投合し奮闘します。

 ライバルの存在となるミュー寮では、親分肌の寮生アシュリーが常にゼータ寮生を見下し、様々な嫌がらせをしてきます。彼女もブロンドであり、シェリーとは正反対の位置付けとなるブロンドパーです。シェリーVSアシュリーのブロンドパー対決が火花を散らします。キャットファイトがないのは残念ですが。

 見どころはやはり、ゼータ寮生達が変化していく様でありましょう。シェリーの能天気な社交性によって、コンプレックスの克服から自己表現を取り戻し、途中の仲違いや挫折も乗り越え、最終的にはミュー寮をぶっ飛ばす。うーん、王道ですね。こうでなくてはいけません。



 シェリーの奇抜な発想はいちいち感動(笑)を生むのですが、特にビックリしたのが、寮生ナタリーがバージンだと知るやアステカパーティを開催するところ。なんだアステカパーティって。とにかくバージンを生贄とする一大イベントとかいって、ゼータ寮の敷地にもの凄いパーティセットを調達するシェリーには笑いました。しかし、スゲー盛り上がりっぷり。シェリーもゼータ寮も貧困でなかったか。どうやって開催した。

 ブロンドパーのシェリーを演じるはアンナ・ファリス。なんと『最終絶叫計画』('00)シリーズ全てに主演されていた素晴らしいコメディエンヌ。男を喜ばせる技には長けているのに、純粋な恋愛には不器用さが爆発するという緩急の付けどころが素晴らしいです。最近よく見るようになった女優さんですが、どこか抜けた感じの可愛い役どころがお似合いですね。

 ゼータ寮生のリーダ格ナタリーを演じるはエマ・ストーン。最近だと『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでヒロインやってたりしますね。彼女もコメディエンヌになるんですかな。優等生の地味なメガネっ娘ですが、率先してゼータ存続に向け奮闘します。あのシェリーを目点にさせるほど、独自のリズムで熱弁を奮うところは笑えました。

 このナタリー、ホットドッグを頬張ってる最中、好きな男子から声かけられた時の反応を日本語吹替えにすると面白いです。よく聞いてみると「宇宙空母ギャラクティカ〜」とフゴフゴ連呼してる。なぜギャラクティカ(笑)。ちょっとオタクの入った役柄とはいえ、この台詞には脱帽。因みにオリジナル音声からしてギャラクティカ連呼なんですが、字幕は全然違うこと言ってる。なにこれ。



 これ製作がアダム・サンドラー率いる「happy Madison」だからなのか、笑いの取り方が突拍子もなく大胆でドリフ的です。決して上品な笑いとはいえないのですが、正直こういうノリは大好き。楽しいものは楽しいです。この製作陣ではお約束と思われるニック・スウォードソンもちょい役で登場してます。

 シェリーがプレイボーイマンションを追い出された件も無事解決し、迎えるクライマックスはゼータ寮存続の可否が下される学内総会。期限内に30名の寮生が揃わなかったことで、ミュー寮のアシュリーがとっとと判決下せやとギャーギャー喚く中、駆け付けたシェリーが皆の前である思いを訴えます。このメッセージにはシェリーらしい純真さが込められており、核心を突くとても大事なところに終着します。これを聞いた学生達の反応は・・・。

 神懸かりの境遇で育ってきたブロンドパーが、典型的な容姿全開だけの存在とは限らなかった、というところがミソですね。まあ、なんだかんだ、ハッピーでホロリとさせられる作品てのは、やはりいいものです。


 『最終絶叫計画』シリーズを見直してみようか。


(C)2008 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND BEVERLY BLVD LLC ALL RIGHTS RESERVED
【出典】『キューティ・バニー』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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