2011年12月11日日曜日

映画『刑事ジョン・ブック 目撃者』 ・・・ハリソン・フォードがアーミッシュと触れ合い、恋に堕ちます

●原題:Witness
●ジャンル:ドラマ/ロマンス/スリラー
●上映時間:112min
●製作年:1985年
●製作国:アメリカ
●言語:英語/ドイツ語
●カラー:カラー
◆監督:ピーター・ウィアー
◆出演:ハリソン・フォード、ケリー・マクギリス、アレキサンダー・ゴドノフ、ダニー・グローバー、ジョセフ・ソマー、ルーカス・ハース、ヴィゴ・モーテンセン、その他大勢

 なんと2ヶ月間も空けてしまいました。11月は完全スルーしちゃったな(汗)。せっかくの年末だしね、アホ画像で終わらせるのもあれなんで、久々に映画ネタで更新したいと思います。しかし、今年ももうクリスマスなんだ。早いよ時間経つの。

【ストーリー】
 アメリカはペンシルベニア州のアーミッシュ。夫を亡くしたレイチェルは息子のサミュエルと共にボルチモアの姉のもとへ出かける。途中とある駅のトイレで殺人事件を目撃してしまうサミュエル。担当することになった刑事ジョンは、レイチェルとサミュエル親子を証人として強引に連れまわし、事件の核心に迫る。それは警察内の麻薬汚職に絡む犯行であった。やがて犯人に襲われ大怪我を負ってしまったジョンは、親子をアーミッシュへ送り返したところで力尽きてしまう。レイチェルの必死の看病によって助けられたジョンは、暫くアーミッシュに身を隠すことにするが・・・。



【感想と雑談】

 初めてテレビ放映で観た時、もの静かな展開にただ見入ってしまったのを覚えています。一人の刑事とアーミッシュの女性が恋に堕ちて行くだけなんですが、このアーミッシュというのがミソだったようです。今回、DVDで見直すことにしました。初の完全版の鑑賞。
 
 改めて実感。地味ですが、とにかく素晴らしい作品。

 冒頭からの自然溢れる大地に黒尽くめの男女が現れる静かなシーンはアーミッシュの質素な生活様式を表したもので、やがて旅立つ親子の乗る馬車がトロいため途中からトラックや乗用車らが後ろに登場するところで、未だ現代文明からかけ離れたコミュニティーであることがわかります。
 
 暫くして刑事ジョン役ハリソン・フォードの登場。ここ最近、爺な姿しか見ていなかったので(笑)、その若々しさにちょっと感動。この頃だと『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』('84年)あたりがカッチョよかったよなあ。そんなイメージがあるから凄く頼もしく見えるのですが、残念なことにすぐ撃たれて死にそうになる刑事だったりします。まあ、そんなハリソン・フォードも悪くないし、倒れることで後の素晴らしい展開に繋がっていく訳です。


(まだ居心地悪そうな刑事ジョンとアーミッシュ女性レイチェル)
 
 押収した麻薬を着服する汚職刑事の一人をダニー・グローバーが演じているのですが、彼はなんと言っても『リーサル・ウェポン』シリーズのマータフ警部じゃないですか。それが目ひん剥いてナイフ振り回したりするから衝撃。どう見ても悪人に見えない。でもこういう意外性もウリの一つとして挙げられるのかも。この汚職刑事の銃弾にジョンは倒れてしまいます。

 怪我を負ったジョンは、レイチェル一家の世話を受けることになります。アーミッシュでの生活の始まり。アーミッシュとは、元々ドイツで迫害されアメリカに渡ってきたキリスト教一派の民族で、聖書の教えを純粋に守ることから必要最低限の文明のみ受け入れ質素な生活を営むコミュニティーのことであり、いたる州に存在しているそうです。本作を観て始めてアーミッシュを知ったのですが、その特異な存在が本作を最も印象付ける要素となっています。

 アーミッシュの未亡人でもあり母親レイチェル役を演じるのはケリー・マクギリス。特別美人でもないんだけど、そのリアルさや落ち着き具合。表情から伝わる心の微妙な変化。この女優さん、最高です。これ以外の出演作(『トップガン』('86年)とか)は未見なのですが、本作の彼女だけで十分な気がします。


(狙ったのか偶然かは不明ですが、アーミッシュとジェット雲の対比が印象深いカット)
 
 アーミッシュでは元々、そんなレイチェルに思いを寄せる一人の男がいるのですが、それを演じるのがアレキサンダー・ゴドノフ。大好きな『ダイハード』('88年)でテロリストのNo2役を演じていたので、またもやここでイメージ違いの配役が(笑)。本作では陰からレイチェルとサミュエルを見守る心優しい男で、ジョンがやってきてからの複雑な心境がジワジワと伝わってきます。
 
 アーミッシュでの一大イベントとして、大勢の男らによってある納屋作りが行なわれますが、ジョンもそれに借り出されてしまいます。大工が得意という設定で要領よく作業をする姿は、実際ハリソン・フォードが元々大工だったことが脚本に生かされてるようです。で、この納屋というのが共同利用の為とかでなく、ある新婚夫婦の為に作られたということで、ここでもアーミッシュの隣人を愛するという生活様式の一部が描かれてる訳ですね。そうそう、この納屋作りのシーンにヴィゴ・モーテンセンを発見。出てたのかよアラゴルン。また若いんだなこれが。


(インディ、アラゴルン、テロリスト、夢の三大共演)
 
 自分と息子を命をかけて守ってくれただけでなく、自由からくる楽しさまで伝えてくるジョンに、レイチェルは惹かれていきます。自動車のラジオから流れる音楽に合わせ、二人が手を取り歌い踊るシーンは印象的で、その後にジョンもレイチェルを完全に意識してしまうのですが、安易な流れにならないところが実にニクイです。二人が無言で見つめ合うところは圧巻といえましょう。
 
 どうすんだこの二人と思っていると、先の汚職刑事ら3人がジョンの居所を突き止め、口封じにやってきます。ダニー・グローバーはやっぱり悪人に見えませんが(笑)。ジョンは機転を利かせながら3人を逆に追い詰めていきます。

 事件も解決し、アーミッシュに留まる理由もなくなったジョンは、最後の決断を迫られます。ラストにレイチェルのことをどう思いどう行動するのかは、観てのお楽しみとしておきましょう。だいたい想像つくかと思いますけどね。とにかくラストのラストまで、いいシーンの連続だったなと思います。

 調べてみれば高評価で、ずいぶん愛されてる作品というのがわかりました。ただ肝心のアーミッシュには必ずしも好意的には取られていないそうです。仕方ないかもですね。しかし、このご時世、アーミッシュのような生活様式をちょっとは見習うべき時期がきているのかもしれません。
 

(C)1985
【出典】『刑事ジョン・ブック 目撃者』/パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

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